【個人のメリット】
個々人の繰上げ年金受給については、当事務所のホームページで記載した通り緩和されました。 (2022年4月(予定)からの老齢年金の繰上げ受給を申請した場合、減額率が繰上げ1ヶ月当たり0.5%から0.4%に変更になります。) さらに、60歳から64歳までの間に仕事をされている方については、賃金と年金月額の合計額28万円以上の場合、特別支給の老齢厚生年金の一部あるいは全部が支給停止されていました。しかし、2022年4月から65歳以上の方と同様に47万円以上に緩和されます。 これは、家計的にもかなり大きいメリットになりますね。 もう1つ、65歳以上の会社員で、老齢厚生年金の受給者である方は、毎年10月に年金額が改定されます。毎年、納めた厚生年金保険料が10月に増額されるという制度になります。これまでは、退職して厚生年金被保険者の資格を喪失しなければ、老齢厚生年金の額は改定されませんでした。 在職定時改定の導入により、退職をしなくても、毎年、年金額が増額される仕組みになり、賃金と年金月額が47万円以内なら増額した分が全部もらえるようになります。この制度改正は、2022年4月から適用されます。 『個人のデメリット』 健康保険・厚生年金適用事業所で働いている人は、週20時間以上、かつ、賃金月額が月8.8万円以上(年約106万円以上)である場合、配偶者の扶養(国民年金第3号被保険者、健康保険被扶養者)からはずれ、各自で健康保険・厚生年金を払う義務がでてきます。(ただし、将来の年金額の増額、健康保険の傷病手当金などの保障が手厚くなるので一概にデメリットとは言い難いところもあります)。 『企業のデメリット』 中小企業(一部除く)の経営者様には健康保険・厚生年金の企業負担分が増額となることです。 現行法では、 <5つの条件> 1.週の所定労働時間が20時間以上であること 2.賃金月額が月8.8万円以上(年約106万円以上)であること 3.1年以上の使用されることが見込まれること 4.従業員501人以上(健康保険・厚生年金適用事業所)の勤務先で働いていること 5.学生でないこと(※夜間や定時制など、学生でも加入できる場合もある) 改正法では、 2022年10月から 1.週の所定労働時間が20時間以上であること 2.賃金月額が月8.8万円以上(年約106万円以上)であること 3.1年以上の使用されることが見込まれること 4.従業員101人以上(健康保険・厚生年金適用事業所)の勤務先で働いていること 5.学生でないこと(※夜間や定時制など、学生でも加入できる場合もある) 2024年10月から 1.週の所定労働時間が20時間以上であること 2.賃金月額が月8.8万円以上(年約106万円以上)であること 3.1年以上の使用されることが見込まれること 4.従業員51人以上(健康保険・厚生年金適用事業所)の勤務先で働いていること 5.学生でないこと(※夜間や定時制など、学生でも加入できる場合もある) 改正法が出る前はもっと緩やかに健康保険・厚生年金の加入条件が厳しくなるのではないかと私は考えていました。しかし、蓋を開けると従業員301人以上を通り越して一気に101人以上に。。。 今回の公的年金の改正は、労働者に優しい制度になり、企業によっては厳しい制度になりました。労働者人口が減少する中、元気な高齢者が働きやすいような仕組みに改正したようですが、コロナ禍において、企業の体力が削がれている状態での改正はかなり痛手です。
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